定款の「株式」の条項を理解する|会社設立無料情報

会社設立羅針盤

第1章 総則

▼商号(第1条)
▼目的(第2条)
▼本店の所在地(第3条)
▼公告の方法(第4条)

第2章 株式

▼発行可能株式総数(第5条)
▼株券の不発行(第6条)
▼株式の譲渡制限(第7条)
▼株式の相続人等に対する売渡請求(第8条)
▼株主名簿記載事項の記載(第9条)
▼質権の登録及び信託財産表示請求(第10条)
▼手数料(第11条)
▼基準日(第12条)

第3章 株主総会

▼招集及び招集権者(第13条)
▼株主総会の議長(第14条)
▼株主総会の決議(第15条)
▼議事録(第16条)

第4章 取締役及び代表取締役

▼取締役の員数(第17条)
▼取締役の資格(第18条)
▼取締役の選任(第19条)
▼取締役の任期(第20条)
▼代表取締役及び社長(第21条)
▼取締役に対する報酬等(第22条)

第5章 計算

▼事業年度(第23条)
▼剰余金の配当(第24条)
▼配当金の除斥期間(第25条)

第6章 附則

▼設立に際して発行する株式(第26条)
▼設立に際して出資される財産の価額又はその最低額(第27条)
▼最初の事業年度(第28条)
▼設立時取締役(第29条)
▼発起人の氏名ほか(第30条)
▼法令の準拠(第31条)

定款の条項を理解するA

総則

株式

株主総会

取締役及び代表取締役

計算

附則

第2章 株式

モデル定款

発行可能株式総数(第5条)

発行可能株式総数は発行可能株式総数の4倍が目安

「発行可能株式総数」というのは、読んで字の如く、株式会社が発行することができる株式の総数のことです。
公開会社(定款に譲渡制限の定めのない会社)については、設立時発行株式の総数は発行可能株式総数の4分の1を下ることができないと定められています。ということは、設立時発行株式数が100株だとすると、発行可能株式総数は、その4倍の400株以下にすればいいということです。
定款に株式の譲渡制限の定めのある会社(=譲渡制限株式会社)であれば、この制限はありませんが、目安として設立時発行株式数の4倍にするケースが多いです。

【例】資本金を100万円、1株の発行価額を1万円とした場合
設立時発行株式総数=100万円÷1万円=100株
設立時発行可能株式=100株×4=400株

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株券の不発行(第6条)

株券は「不発行」が原則に

商法においては、会社は「株券を発行する」のが原則でしたが、ほとんどの中小企業が株券を発行していないという実態がありました。また、株券の発行はコストがかかるうえ、株主としても紛失等のリスクも指摘されていました。
それらを踏まえて、会社法では、株券は「不発行」が原則となりました。
したがって、株券を発行する場合には、定款に株券を発行する旨の定める必要があり、登記簿にも、株券を発行している会社である旨登記されることになりました。

会社法以前の株式会社は株券「発行」でみなし登記がされている

会社法施行以前からある株式会社については、「株券を発行する」という前提で設立されています。
そのため、「株券を不発行にする」旨の記載(平成16年の商法改正で認められました)がない限り、当然に「株券を発行する会社」とみなされ、会社法施行の際に、登記官の職権により登記簿にその旨の記載がされています。

株券発行会社が、株券発行の定款規定を廃止するには、以下の手続きが必要です。
1 定款変更手続
2 株券廃止の公告、株主及び登録質権者への通知

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株式の譲渡制限(第7条)

株式の譲渡制限の規定

株式会社は、「公開会社」と「そうでない会社」(=「譲渡制限株式会社」)に分けて考えられていています。
公開会社というと、一般的には上場会社を思い浮かべますが、会社法においては、上場の有無ではなく、譲渡を制限しない株式が一部でもある会社を「公開会社」としています。

株式譲渡制限会社になるには、必ず定款にその旨を定める必要があります。
定款への定め方は、たとえば以下のような文面です。

【例】当会社の株式を譲渡により取得するには、株主総会の承認を受けなければならない。
※「株主総会の承認」の部分については、「代表取締役」や「取締役会」とすることも可能です。
【例】当会社の株式を譲渡により取得することについて当会社の承認を要する。当会社の株主が当会社の株式を譲渡により取得する場合においては当会社が承認したものとみなす。

譲渡制限株式会社の柔軟性

ところで、譲渡制限株式会社と公開会社では会社運営上何が違ってくるのでしょうか。
公開会社と比べ、譲渡制限株式会社は以下のように柔軟な機関設計ができます。

◇取締役会(取締役3人以上で構成される)を設置するかどうかは任意です(取締役1人会社もOKです。)
◇取締役会を設置しない会社であれば、監査役の設置も任意です。
◇取締役の任期を最長10年まで伸ばすことが可能です。

ところで、取締役会のない会社の場合、会社の意志決定は株主総会で行うことが基本となります。自ずと株主総会を開催する頻度は増えますので、株主総会の手続きを簡素化し、開催しやすいよう配慮されています。

◇株主総会の招集通知は、定款に定めれば1週間より、さらに短縮することが可能です。
◇株主総会の招集通知は書面でする必要はなく、口頭や電話、電子メールでも可能です。
◇株主総会の目的事項を通知する必要はありません。

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株式の相続人等に対する売渡請求(第8条)

良いことばかりとは限らない

会社法では、会社の株式を後継者等に集中させ経営の安定を図るという趣旨で株式の売渡請求制度が導入されました。
モデル定款などではよく以下のような記載がみられます。
「当会社は、相続その他の一般承継により当会社の株式を取得した者に対し、当該株式を当会社に売り渡すことを請求することができる。」

たとえば、経営者Aさんが3人の子供BCDのうち、Bに会社を継がせたいと思ったとき、定款に定めを置くことで、一般承継でCDに分散した株式を会社が買い取ることができるということです。

しかし、この条項、ケースによっては経営者にとって意図に沿わない事態を招く可能性もあります。
たとえば、経営者Aさん以外に親族ではない株主Eが30%の株式を持っているというケースです。
Aさんが亡くなった後、Eが株主総会でAさんの遺産株式に対して売渡請求をした場合、売渡請求の対象となる株式の相続人(BCD)には議決権がありませんので、会社を乗っ取られてしまう可能性があります。(買取ができる範囲や買取金額の面で制限はありますが。)

定款に株式の売渡請求条項を置く場合、家族の状況や会社の将来構想などもよく検討したほうが良いのではないかと思います。

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モデル定款

株主名簿記載事項の記載(第9条)

株券の不発行会社では株主名簿の記載がものを言う

「株券の不発行」でお話ししたとおり、会社法は、株券を発行していない会社を前提としています。
株券が発行されていない場合には、株券がないのですから、株券の裏に書かれている名義を自分の名義に書き換えること(=名義書換)はできません。
当然、株主は誰なのかについて株主名簿の記載をもとにすることになりますので、株主名簿の記載は非常に重要な意味を持ちます。

株式を取得した人は、株式を発行している会社の株主名簿に株主として氏名等を記載するように請求できます。(会社法第133条第1項)

ただし、譲渡制限株式については、条件があります。
株式を譲渡する際に制限がもうけられているわけですから、発行している会社の承認が得られた場合や指定買受人になった場合、相続その他の一般承継により譲渡制限株式を取得した場合に限り、株式取得者は株式名簿に記載することを請求できます。

株式名簿に氏名等の記載を請求する場合には、法令等に定められた場合を除き、その会社の所定の請求書に株式の譲受人と譲渡人とが記名押印して共同で請求するというのが基本です。

ただし、株券の発行会社の場合には、株式取得者が株券を提示して請求をした場合も単独請求をすることができるとされています。
この場合、株券をもってさえいれば株主として認められるということですから、株券を盗まれたら勝手に名義書換されてしまう恐れもあるということです。最近では株券を家に置いておくことも少なくなりましたが、株券の保管には注意が必要です。

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質権の登録及び信託財産表示請求(第10条)

株式に質権を設定した者は、株式会社に対して、質権者の氏名又は名称及び住所等、質権が設定されている株式であることを株主名簿に記載するよう請求することができます。これは会社法第148条第1項に規定されている内容です。
第9条でも触れたとおり、株式に権利を持つものにとって、株主名簿への記載というのは大変重要な意味を持ちますので、当然のことです。

請求する場合には、会社所定の書式による請求書に当事者が記名押印し、これを会社に提出することになります。質権の変更や抹消があった場合にも同様にして請求することできます。

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手数料(第11条)

「株主名簿記載事項の記載」や、「質権及び信託財産の記載」にあるような請求をする場合には、当会社が決めた手数料を支払ってもらう旨を規定しています。

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基準日(第12条)

基準日はなぜ必要?

株式会社では、通常、決算日から3ケ月以内に定時株主総会開かれます。
定時株主総会では、決算報告があり、また、会社の役員を決めたり、増やしたりすることについて決議されます。
その株主総会の議決権をもつ株主を特定するための基準となる日が基準日です。

例えば、基準日が毎年3月31日と定められた会社の株を、平成18年4月4日に取得したAさんは、平成18年3月31日時点での株主名簿に記載されていないので、平成18年6月の定時株主総会での議決権はないことになります。

上場企業などの場合、株式は日々売買されているため、株主は流動的です。
もし基準日がはっきりしなければ、当該株主総会の株主がだれなのか分からなくなってしまいます。

基準日を設けることで、議決権を持つ株主を特定することができるというわけです。

また、通常、基準日を定めたときは、基準日の2週間前までに官報などにより公告をしなければなりませんが、定款に基準日を定めることで、基準日を公告する手間が省けます。

株式を上場していない場合には、株主の変動はさほど多くはないと思われますが、株主が特定できること、基準日を公告する手間が省けることから、定款に定めている会社が多くなっています。

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